被告の実名について書かれた著作が刊行された。犯行当時は少年だったとしても、事件から10年が経過。実名表記のノンフィクションが出てもとくに問題はない、と思う。また、被告は出版を承諾していなかったと主張しているようだが、フリーライターという職業を名乗る人物と何度も面会しているわけだから、刊行されることは十分にありうる。取材対象者からの明快な承諾がなかったとしても、発表すること自体を100%否定すること、許されないことだと糾弾することも非現実的だろう。
『福田君を殺して何になる』
―光市母子殺害事件の陥穽(かんせい)―
増田美智子 著
四六判240ページ 1500円+税
ISBN 978-4-9035-3803-7 C0095
1審、2審の無期懲役判決が最高裁で破棄され、2008年4月22日、差し戻し控訴審(広島高裁)で死刑判決を受けた福田孝行被告(28歳)。現在、再び最高裁の判断を待つ福田被告は、どのような心境で過ごしているのか。福田被告と同い年の著者が1年以上も面会と文通を続け、彼の心の深層に迫る。福田被告の両親や兄弟、友人、恩師、弁護士ら総勢100人以上を取材。内気で不良でもなかった福田被告が、どうして凄惨な事件を起こしてしまったのか。「福田君が死刑になることで、何か1つでも、社会にとって得るものがあってほしい」と願い、取材を続けた著者がたどり着いた結論とは――。ノンフィクション復活をかけた渾身の1冊!
発行元のインシデンツ↓
代表の寺澤有氏については、取材をしたことがあります↓
【オリコンうがや訴訟12】9999万円の和解金を拒否し、武富士に1兆円請求した寺澤氏
http://www.mynewsjapan.com/reports/786
というわけですから、出版差し止めに対して、徹底抗戦することは確実でしょう。
光市母子殺人事件を報じてきた藤井誠二氏については、
その仕事をなんどか書評で紹介してきました。
http://booklog.kinokuniya.co.jp/masaishii/archives/2009/04/post_69.html
こちらもまた、被害者遺族のために取材活動してきた硬派ライター。なんらかの形で、インシデンツからの出版について意見を出すはず。
なんかすごいことになってきました。ジャーナリズム、表現活動が活性化しているわけですからよいことだと思います。
こんごの展開に注目です。