石井政之の作業場

石井政之  作家、編集者、ユニークフェイス研究、「ユニークフェイス生活史」プロジェクト、ユニークフェイス・オンライン相談、横浜で月1飲み会。---有料マガジンの登録をお願いいたします

ストーカーについて(2) NHKハートネット

昨日に続いて、ストーカー特集 2回目。視聴しました。面白かった。

 

ストーカー 加害者たちの告白(2)

https://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/program/index.html?id=201611022000

 

 感想メモ。

 ストーカー治療の精神科医と、ストーカー加害者のカウンセリングをしている小早川氏が登場。

 いきなり、覚醒剤中毒患者の治療シーンがはじまった。

 小二の息子と画面に釘付け。

 パパこれは何? 病気を治しているんだよ。

 覚醒剤依存と、反射行動としてのセックスの関係について医師が語りはじめた。息子はこの番組に興味をなくしたようで、ほかのことをはじめた。

 

 ほっとして、番組に集中。

 

 精神科医の治療方針がユニーク。
 その医師の説明を私なりに理解して文章化するとこんな感じ。
 動物的な脳と、人間的な脳があり、ストーカーは、コミュニケーションをしたいという欲望にとりつかれている。この反射行動を、抑制するために、たとえば、電源が入らないスマホを渡す。そしてストーカー行為をしていたときのように行動するように促す。ストーカーたちは、スマホにターゲットの人に向けてのメッセージを打ち込んでいく。ストーカーの人たちには、その電源が入らない画面に、生々しく、やりとりが見えている、という。
 そのような行動を、もうひとつの人格である人間的な脳がみており、こんなことをしてダメだ、と警告を発している。
 治療をしていくうちに、動物的な脳の働きが抑制されて、反射行動が消えていく。
 ただ、治療を継続しないとストーカー行為が再発する可能性があるので、注意が必要である。
 小早川氏によれば、ストーカー行為者の多くは、人生におおきな問題をかかえており、それゆえに、ストーカー行為に及んでいる、という。問題のない人間で、ストーカー行為をする人を見たことがない、と。
 元ストーカーの人たちは、両親が新興宗教にはまって普通の親子の会話ができなかった、社会的地位の高い親から溺愛されて普通の社会に溶け込むことができなかった、などのライフストーリーを語る。この語りのときは、狂気を帯びた話しぶりが抜けて、人間的な語りに変化していく。
 これは映像化によるおおきな説得力だ。
 コンプライアンスが厳しい報道番組の制作現場で、このような報道が実現したことはすばらしい。
 もっとおおきな枠で、長時間の番組化を望みます。

 

 

「ストーカー」は何を考えているか (新潮新書)

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