石井政之の作業場

作家、編集者、ユニークフェイス研究、「ユニークフェイス生活史」プロジェクト、ユニークフェイス・オンライン相談、横浜で月1飲み会

チラシについて










新刊を出すたびにチラシをつくってきた。なぜか。広告代理店でアルバイトをしていたとき社長から「チラシは広告の基本だ」と叩き込まれたから。どんなにカラー印刷が増えても、1色刷りのチラシの需要はなくならないし、どんな大企業でも零細企業でも、個人事業主でも、チラシを作るんだ、と何度も聞かされた。友人の電通社員からも、印刷会社のチラシ印刷による売上高が巨額であることを教えられた(いまその金額は思い出せない)。ネットが普及する前の話しだけれど、いまも通用する面があると思う。



メルマガや同報メールのことを私は「電子チラシ」と読んでいるくらいだ。でも、紙のチラシのほうが良い。なぜか。初対面の人に紙のチラシを渡すと、5秒くらい読んでくれるからだ。この5秒は大きい。お互いに共通の話題がない初対面では、チラシ情報をもとに会話が始まる。相手は私の仕事を聞く機会を得ることができる。私はそれに答えることができる。



口で説明すると、ややこしいことも、チラシは雄弁かつスマートに語ってくれる。



http://homepage2.nifty.com/masaishii/rakure.pdfこの電子チラシに書かれた内容をきっちり口頭で説明するとなると5分はかかる。わからない人はまったくわからない。バーバルコミュニケーションとはそういうものだ。



初対面のライターから、「●●」という本を◆◆という出版社から出しました、と聞くことがあるが、5秒後には書名も版元名も忘れている。名刺の名前を、ネットで検索するかどうか。その可能性は低い。



初対面の人にいきなりカバンから自著を取り出して、説明するのは格好が悪いと思っている。押しつけがましいし、すぐに買ってほしい、というメッセージを伝えることになるからだ。押し売りはイヤなのである。本は嗜好品なのだから、興味のない人がいるのが普通だ。