昨日、日本ジャーナリスト専門学校文芸創作科で授業。いい天気だった。イヤな予感がした。案の定、出席者は3人だけ。課題図書、「何がなんでも作家になりたい」(鈴木輝一郎)を読んできた人はゼロ。3人に聴いた。「なぜ、今日の講義に参加したの? この単位を取らないと卒業できないから?」。3人全員が頷く。そして3人とも作家志望ではないことを確認。じゃあ、なんで文芸創作科に来ているのか?と問うのは野暮である。俺なんか高校、大学と7年も技術教育を受けて、エンジニアの道からはずれて、いまフリーランスの物書きをしているわけだし。
丸山健二のエッセイで印税の安さ、姫野カオルコへの取材記事で印税の安さ、鈴木輝一郎の著作で印税の安さを多角的に検証して、感想文を書いてもらった。3人とも「小説家がこんなに生活が苦しいとは知らなかった。小説家志望でなくてよかった」という主旨の文章を寄せてくれた。こうして夢見る子どもを現実に引き戻すのもまた教育なんだろうか。「それでも私は小説を書きます!」という文筆バカはどこにいるのか?
帰途、高田馬場芳林堂で「コバルト風雲録」(久美沙織)を購入。女工哀史と同様の「小説労働の現場」を知って落涙。早川書房の原稿料は400字あたり1000円かぁ、この情報も日本ジャーナリスト専門学校の生徒に伝えなきゃ、と強く思う。