「文筆生活の現場」と「編集会議」最新号を読んだ、というフリーランスライターから、仕事に疲れたため、フリーランスを辞めて勤めることにした、という連絡が来る。
非常に賢明な選択だと思う。
この「疲れた」というひと言を言えないまま、ずるずるとフリーランスをやっているうちに、転職の機会を喪失する人、無気力(鬱病かな?)になる人、をたくさん見てきた。
請負仕事をこなしていくうちに、充実感とともに仕事のチャンスが広がっていくフリーランスは少数なのではないか。
無名のフリーランスに大きなチャンスを与える体力と余裕のある版元、編集プロは少ない。収益性を考えたら、若くて無名なフリーランスの本は売れない。
博打をうつ余裕は版元にはない。無名のフリーランスはゴースト(構成ライター)をやって、そのようにつくられた本によって有名な人はさらに有名になっていくという構造の末端にいることを見せつけられるだけである。
その末端から成り上がるのがフリーランスの醍醐味なのだろうが、その利幅はベストセラーがでないと非常に薄いままである。水商売なので将来への不安は常にあるわけだし。
ところで何が引退なんだろうか。
好きなことを書いていない状態こそが、引退している状態とも言えるし、文筆で稼いでいない状態が引退ともいえる。
でも、いい本を書いていればそれはどんな人が書いてもプロの仕事として尊敬される。
フリーランスであることにこだわらないといけないかどうかは人生観と深く関わっているのでしょう。
私は、顔面の社会問題を手がける企業(そんなものあるのか?)があれば就職していました。
でも、日本にはないので、フリーランスをしているのです。NPO法人もつくっているわけです。
来年で40歳。
日本の閉鎖的な労働市場においては、転職ができない年齢になりつつある。
がんばろう!
文筆生活の現場―ライフワークとしてのノンフィクション (中公新書ラクレ)
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