『見つめられる顔 ユニークフェイスの体験』(高文研)が絶版になったため、その増補改訂版を出すべく、地方のとある小出版社の編集者と交渉。結局、その版元から出版することはしないと決めたのだが、そのあとの四方山話しが印象に残った。
「地方から東京の出版をみていると、レミングの行進なんだよな。あんなに大量に新刊を出しても読者はいないだろ? 経営も悪化するだけだろ? 自転車操業をしても先はないだろ?」
「まぁ、そうですねぇ。周りをみても疲れた人が多い。でもこんなに出版のチャンスが増えている時代もないと思う。顔面をテーマにした本をたくさん出すという記録を作れそう。実際、ユニークフェイス問題で、これだけ本を出せるのは日本だけだと思いますよ」
『本とコンピュータ』最新号「日本人の読書習慣消えたのか? 変わったのか?」を購入、読んでいるが、粗雑な作りでガッカリ。ネット時代の読書習慣について学ぶべきことを書いたのは評論家の切通理作氏のみ。あとは過去の回顧をしているだけである。
文芸評論家の小谷野敦のアンケート回答コメントもなかなか良かった。『評論家入門』(平凡社新書)ににじむ文筆業者としての矜持は健在。
明日はカモフラージュメイクメイクの講座である。自分の顔面の皮膚を資本に、講師料を稼ぐという究極の肉体労働。しかし、『私たちの仲間』(緑風出版)において、19世紀をいきた結合双生児たちが自分で自分の肉体に値付けをしてから、見世物小屋でショーをして資産を形成したという歴史を知った今は、まっとうな仕事としてのメイクモデル、と認識できると思える。このあたりも思考を蓄積していきたいところ。すべての人間は見世物小屋のショーマンであると言える。監視カメラとバイオメトリクスの時代だしね。
で拙著『自分の顔が許せない!』が紹介されました。