鑑定医が「調書見せた」と供述 奈良放火殺人
2007年09月22日
奈良県で家族3人が焼死した放火殺人事件をめぐり、中等少年院送致になった長男(17)らの供述調書を引用した本が出版され、精神鑑定を担当した京都市の医師(49)が秘密漏示容疑で奈良地検の家宅捜索を受けた問題で、医師が地検の任意の事情聴取に対し、「(著者から)頼まれたから調書を見せた」と漏洩(ろうえい)を認める供述を始めたことが22日、わかった。医師は「そのまま本に引用するとは思っていなかった」と話しているという。地検は漏洩にいたった経緯などについてさらに調べる。
調書を引用したフリージャーナリスト草薙厚子氏の著書「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)をめぐって、医師は当初、調書の漏洩などの関与を否定。草薙氏との関係についても「面識はあるが、頻繁に連絡をとったことはない」と説明していた。
だが、地検による医師や草薙氏の自宅などでの家宅捜索の結果、2人の間にはがきのやり取りなどの交流があったことがわかった。さらに昨秋の長男の精神鑑定の実施にあたって、医師が家裁から借りていた調書などのコピーから草薙氏の指紋が検出された。
こうしたことを受け、医師も供述を変え始め、草薙氏に強く頼まれたため調書を見せたことを認めたという。
地検は草薙氏や講談社の担当者らについても、職務で知った個人情報を漏らした秘密漏示容疑の医師の「身分なき共犯」にあたる可能性があるとみて聴取する方針。
一方、草薙氏は情報源について黙秘を続けている。