小田光雄『出版社と書店はいかにして消えていくか』再読
http://d.hatena.ne.jp/solar/20080426#20080426f2
郊外型の「新刊書店」の大半は、マンガも雑誌も売れず、新書も頭打ちになったら、売るべき商品がなくなるので、ど
こかでサブプライム・ショック的な不良債権の露見がはじまるだろう。出版界における「取次」の本質は、流通会社(ロジスティックス)でも卸売業者でもな
く、出版社や書店に対する大口の金融機関である。この本における小田のもう一つの慧眼は、書店における「市中在庫」の総額が、取次の売掛金の総額を下回っ
ているはずだ、という大胆な推論にある。
もしこれが本当なら、出版業界は全体として、膨大な不良債権を抱えたまま、十年間以上も自転車操業で新刊を出し続けているということになる。そろそろクラッシュしてもおかしくない。今年の年頭の草思社の民事再生法申請*6と、旭屋書店の東京からの実質的な撤退*7は、かつての北海道拓殖銀行と山一証券の破綻を思わせる、より大きななにごとかのプロローグのように思えてならない。