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浜松シネマイーラにて、映画「キャタピラー」を鑑賞。若松孝二監督のスタイル、全くぶれていないことに感動した。
傷痍軍人として帰国した夫は、四肢切断、耳が聞こえず、喉の傷のために語れず、右顔面はケロイド瘢痕。この夫が、毎晩のように、寺島しのぶ演じる妻の肉体を求める。そのセックスシーンは見事な迫力。
軍神とあがめられる傷痍軍人夫は、次第に、戦場でレイプし、虐殺した中国人女性の幻影に追い立てられるようになる。妻は、食欲と性欲しかなくなった夫を見下す。
世間では、軍神としてあがめられる。家では、相互不信、相互蔑視の夫婦関係が続く。
敗戦を迎えて、この夫婦関係は結末を迎える。長い行き詰まる映画が終わった後に、エンディングの歌が、元ちとせ。この歌がストレートな反戦歌。若松映画となんでこんなにマッチするのだ! と一気に泣けた。やばい。
映画「キャタピラー」では、第二次世界大戦で全世界で約6000万人が死んだ、というテロップが流れました。戦争が悲惨だ、ということではなく、やはりそれなりのやりがいとか熱狂がないと、ここまでの数の死者は出てこない。
発狂したフリをしていたクマさんが、敗戦の情報を知って、すっかり普通の人間になって踊っていたのが救い。
大日本帝国万歳とか、大企業の労働条件万歳とか、いろいろなものに万歳しながら、人々は生きている。かなりの不条理があっても、声を出して反対する人間はいない。いくところまでいく。
戦争というのは、多くの身体障害者をつくりだす。これは障害学ではよく語られることですが、一般の人達はあまり知らないのかもしれません。
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