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読了。社会心理学者、山岸俊男氏が、日本研究で知られるアメリカ人研究者との対談をまとめたもの。山岸氏がこれまで書いてきた一般向けの書籍の内容を、対談にしてもっと普及させていきたいとという意図で企画出版された。内容は、これまでの山岸氏の一般書を読んできたので、とくに目新しいものはなかった。
確認できたこととしては、日本人はデフォルト戦略で無難な道を選択すること、人前では明解な意見主張はしない、ということの意味を、社会心理学や経済学、ゲーム理論から説明できること。前に読んで知っていたことを復習、再確認できた。
東京でも、東北大学でも、在米日本人社会でも、同じ現象が繰り広げられている。(そういうことはツイッターを読んでいるとよくわかる)
先日、豊橋のコンサルタントと話をしていて、わが出身大学(豊橋技術科学大学)の卒業生のなかには、大企業ではなくベンチャー企業に就職して、めざましい結果を出して、若くしてベンツにのっているという人が登場したという。こういう地方都市でも、新しい生き方を実践している人が登場している。
欲を言えば、この対談本で、すこしでも、日本社会の例外についても言及して良かったかもしれない。新書のすべてに要素を盛り込むことは不可能だし、非現実的だが。
それから、日本社会の差別のひとつのカタチとして60歳定年制があるという指摘は、勉強になった。あまり勘得てこなかったことだった。60歳で定年ということは、年齢によって強制的に仕事を失うことになる。それだと高齢者の年金負担をする労働者が減少してしまう。バランスのよい経済のためには、定年制をなくす、つまりは就労における年齢差別をなくすことが必要。もちろん、女性の就労環境の整備も必要だ。
日本はかなり自由な国ではあるが、リスクにたいして過敏な社会になっているため、社会の変化が乏しい構造になっている。
こういう構造がこれからも温存されていくと、日本社会とビジネスで交流する外国人からみると、非効率なので別の国、地域とのビジネスへとシフトされていく。このような危惧を対談相手のアメリカ人が指定している。事実として、それは始まっていると考えてよい。
地縁、血縁、同級生の仲間。そういう、暖かい交流は大切にしつつ、異人との異文化コミュニケーションをすることが大切と理解して読了。
私は40歳過ぎて、生きる世界を変えていったが、なんとかなるものだ。
人によっては、浜松から豊橋に転居・転職する、と説明しただけで、「思い切ったことをするね!」と言われた。しかし、東京から浜松に転居したときのほうが勇気を要した。豊橋から浜松の転居は、僕の人生のなかでは、「微調整」だと思う。
日本社会がなんでこんなに閉塞感があるのだろう? と疑問に感じている人は必読。
対談なのでさくさく読める。