石井政之の作業場

石井政之  作家、編集者、ユニークフェイス研究、「ユニークフェイス生活史」プロジェクト、ユニークフェイス・オンライン相談、横浜で月1飲み会。---有料マガジンの登録をお願いいたします

アジテーションでのし上がったトランプという人物の来歴について

アメリカ大統領選挙に勝利したトランプ氏について。

例によって、テレビ報道をみていても、その人間性についてはよくわからない。

選挙で勝ったときから、いいところを探そう、客観的なデータで語ろう,というのが大手メディア。

それだけでは、理解できないのが人間。

ずっとトランプという人物について追いかけてきた人としては、

在米コラムニストの町山さんの記事が秀逸でした。

 

wedge.ismedia.jp

なるほどと唸ったのは、受ける言葉をみつけだして、テストしく。支持されるとわかるとその方向(差別、侮辱など)の言葉を繰り出して、支持を集めて、政敵を倒していく。

 

トランプは慎重だった。まず12年の中間選挙で出馬を匂わせ、「オバマは本当はケニア生まれだから大統領の資格がない」と発言してみた。それはデマとして既に検証が済んでいるにもかかわらず、共和党支持者の過半数がそれを信じた。トランプは差別的デマで共和党員がどのくらい「釣れる」かをテストしてみたのだろう。テストは成功したが、トランプは出馬を取りやめた。ウォール街がバックにつくミット・ロムニーには資金力で勝てそうにないからだ。

 そして15年、トランプは満を持して出馬した。ライバルの候補は史上最多の16人。だが、全員小物だった。資産価値の下がった会社に敵対的買収をかけるように、トランプは共和党に乗り込んだ。貧しい労働者の荒々しい言葉遣いと話し方、差別的なレトリックで、株の代わりに有権者の支持を奪い取って、党を乗っ取った。30年近くかかった大統領への野望はついに実現しつつある。それはマーケティングによって客のニーズに合わせた戦略の勝利だったのだ。

 これまで大統領選挙でみせてきた、トランプのイメージは、演出によるところが大きい。これからどういう政策をすすめていくのかは予測不可能。

 ひとついえるのは、長い間、歴史的に解決できなかった諸問題は、地道に取り組まないと前進しない。

 このトランプという人物には、その地道さと持続力があるのか? 疑わしい。

 アメリカ国内政治だけでも銃規制、雇用、高齢化、財政破たん都市、とかいろいろある。失われた雇用を取り戻す? 現代で鎖国をすることはできない。自動車産業の復活といってもアメリカの自動車は競争力がないから売れていないわけだし。

 感情をあおるアジテーターが、そのアジテーションで勝利。

 政権運営アジテーションでは無理。

 アメリカ人記者のこの記事も秀逸。祖父が移民で、小さな会社の経営者の父親をもち、裕福なんだけれども、コンプレックスをもったトランプが、上流階級への挑戦をするというストーリー。アメリカンドリーム。なりあがり。

www.buzzfeed.com

 映画監督のマイケル・ムーアも、トランプをながく観察してきた人で、はやくから、トランプが当選する、と予測してきた。

 ムーアによると、4年もたない。

 

www.huffingtonpost.jp

 

 ふつうに考えたら失言、失策、失敗などでアメリカを危機に陥れると思います。

 もし、これまでのアジテーションがすべて計算された演技で、当選後は、まじめに大統領職をする、となったとする。でも、そういう実務経験はないし、政界に人脈はない。

 大混乱は必至、というのがムーアの見立て。

 ま、トランプが沖縄問題に知見があるのか? ないでしょう。関心もないはず。

 アメリカ国内でISからのテロ攻撃が起きたとき、そのリアクションも心配。とんでもない激情かつ、激情的な発言をし、最強行手段を選択したら? アメリカ国内で内戦が起きるかもしれない。(テロ容疑者の犯人捜しで、トランプ支持の自警団が、リンチをはじめる。それに対抗する無実を訴える武装した市民と銃撃戦になる・・とか)