石井政之の作業場

石井政之  作家、編集者、ユニークフェイス研究、「ユニークフェイス生活史」プロジェクト、ユニークフェイス・オンライン相談、横浜で月1飲み会。---有料マガジンの登録をお願いいたします

「ブレードランナーの未来世紀」 読書メモ

ブレードランナーの未来世紀」(町山智浩 著)を再読。

改めて映画評論の名作だと確信できた。

 

本当に革新的で、革命的なものは生まれなくなった。

あまりにも多くのものがすでに作られてしまった。

何をやっても誰かのレプリカになってしまう。メディアからの情報が朝から晩まで頭の中に入り続け、記憶のほとんどはメディアからインプットされたデータで、自分だけの生身の体験はどんどん小さくなる。

表現すべき自己などないのに「本当の自分」などと問い続ける私たちはみんな、レイチェルと同じ、自分が人間だと夢見ているだけのレプリカントなのだ。

 

 

自分だけの生身の体験は、ある。

あるのだけれども、その体験をしているときに、すでにメディアからの情報と比較している自分がすでにいる。

そこで、情報体験と、生身体験がミックスする。ミックスするしかないのが、いまの時代。

あらゆることは検索すれば出てくる。

私が、ユニークフェイスを始めたとき、その言葉の検察ヒット件数はゼロだった。

ここには未知がある、と確信できた。

たった20年前のことだ。

いまは検索すると出てこない言葉や概念はない、といっていいのかもしれない。

それでも、人間は体験することを止めることはできないし、

その初めての体験にともなう不安は消えることはない。

情報で不安は消えないのだ。