佐藤優氏は博覧強記で知られる作家だ。多作の人だ。
だるまのような顔立ちで、その頭蓋骨のなかにある頭脳は小さな図書館のようである。
佐藤氏の著作は何冊か読んできたのは、その多作の秘密もすこしでも知りたいと思うからである。
本書『調べる技術 書く技術』は、これまで書かれた勉強本と中身は大差がない。それでも読んでしまうのは、佐藤の情報収集と執筆術に接していたいからである。
すべてのメモを一冊のノートにまとめておくこと。手書きメモのほうが記憶に残る。
ネット情報は玉石混淆なので、あまり時間をかけない。体系的な知識は書籍から。入門書から徐々にステップアップしていくと情報理解が早い。
新聞という情報パッケージはよくできているので、1紙だけでも購読するとよい。
これらは、すぐに実践可能である。
貯蓄の仕方、人脈の確保の方法、休息の方法まで言及している。薄い新書に読者サービスを詰め込んでいる。
佐藤はキリスト教徒として知られる。
神を疑いながらも、神を信じている。という立場と理解している。
本書は、情報収集と執筆することで、幸福になれるという信念に貫かれている。佐藤なりの宗教活動の実践のようで興味深い。生真面目さが突き詰められている。
普通の人間には、明らかに過剰な情報収集術であり、執筆術なのに、読んでしまう。癖になるのだ。