読み始めている。ユニークフェイス当事者に読んでほしい書籍。
外見差別についてこれだけの論考が掲載されるくらいに、日本社会の知識人層が増えてきた、と思った。
もちろんまだ不十分だけれども。
アルビノ当事者で研究者の矢吹康夫氏の論考が掲載されていない。
外見差別された男性側の視点での論考が少ない。
など、改善点は多いけれども、その不十分さの自覚がある寄稿が少なくない。
このブログで、興味深い論文を選んで感想などを適宜書いていくつもり。
追記
もうすぐ、容貌障害の当事者で、ふれあいタッチ授業を全国で展開した、故・藤井輝明さんの回顧記事を発表する予定です。この「現代思想」の特集で、藤井輝明さんに言及されていない。それって、外見差別に関心を持っている研究者としてダメじゃないのかな、と思った。男性当事者の視点について、深く考えるという習慣、視点が不足している。
寄稿した人たちの参考文献リストをざっと確認したけど、藤井輝明さんの著作はなかった。あっという間に忘れられていくのか。藤井さんは大学教授にまでなった当事者。外見を研究する知識人が、彼の存在について論じないなんてありえない。
岩井建樹さんの仕事も引用されていない。
「見た目問題」どう向き合う?の記事一覧 - withnews(ウィズニュース)
青土社 ||現代思想:現代思想2021年11月号 特集=ルッキズムを考える
「見た目」をめぐる倫理を問う
近年「ルッキズム(外見に基づく差別や偏見)」という言葉が急速な広がりを見せている。本特集では「見た目」をジャッジする暴力の問題を、レイシズムなど様々な差別とのかかわりとともに、また美をめぐる私たちの欲望の両義性や、視覚中心的な社会のあり方などについても問い直しながら、広く深く検討することを試みたい
[目次]
特集*ルッキズムを考える
【討議】
外見に基づく差別とは何か――「ルッキズム」概念の再検討 / 西倉実季+堀田義太郎【交差し複合するルッキズム】
「障害があるように見えない」がもつ暴力性――ルッキズムと障害者差別が連動するとき / 飯野由里子
ルッキズムとレイシズムの交点――「ハーフ」表象をめぐる抑圧と対処 / ケイン樹里安
移住家事労働者から考える、「らしさ」の境界線 / 小ヶ谷千穂
キャスター・セメンヤと大坂なおみとルッキズム――黒人女性アスリートのジェンダーとセクシュアリティ / 山本敦久
「どんな見た目でもいいじゃない、LGBTの人たちみたいに」 / 森山至貴
可視化か不可視化か――トランスジェンダーのパスの経験におけるジレンマ / 山田秀頌【まなざしの坩堝のなかで】
ままならない交差点――ジェンダークィアのボクが生きてきたこの身体について / 古怒田望人/いりや
都市の骨を拾え / 高島鈴【メディアの〈目〉を問い直す】
脱毛広告観察――脱毛・美容広告から読み解くジェンダー、人種、身体規範 / 小林美香
娯楽と恥辱とルッキズム / 田中東子
男性身体とルッキズム / 北村匡平
ルッキズムの解毒剤――ブサイク女子マンガについて / トミヤマユキコ
「ことば」からルッキズムを揺さぶる――もっと多様な容姿の基準を! / 中村桃子【日常を覆う「見た目」の政治】
雇用の入口、「番兵」としてのルッキズム / 栗田隆子
感情知と感情資本――アンガーマネジメントの社会学 / 山田陽子
差別と侮辱――ルッキズムとメタ倫理学 / 奥野満里子【インタビュー】
目で見るものが全てではない――視覚中心の社会をほぐすために / 広瀬浩二郎【美──この両義的なるもの】
女性の外見的魅力をめぐるフェミニズムのポリティクス / 高橋幸
自分を美しく見せることの意味――ルッキズム、おしゃれ、容姿の美 / 筒井晴香
エンハンスメントとしての美の実践 / 飯塚理恵【異他なる身体のエステティクス】
受肉した肌をみる痛み――現代日本におけるイレズミと身体の感性学的受容論 / 大貫菜穂
ラブドールの「見た目」に関するいくつかの覚書 / 関根麻里恵