石井政之の作業場

石井政之  作家、編集者、ユニークフェイス研究、「ユニークフェイス生活史」プロジェクト、ユニークフェイス・オンライン相談、横浜で月1飲み会。---有料マガジンの登録をお願いいたします

読書メモ『外国人まかせ』

『外国人まかせ」(澤田晃宏 サイゾー)を読了。

 

「外国人まかせ」。後書きがよかった。取材者から、「ペンをもつ当事者」になる、という気概がすばらしい。当事者ジャーナリストのひとりとして共感した。


有名大卒など高学歴ばかりのメディア業界の中で、高校中退という経歴からスタートした著者の視点は、地に足がついている。こういう取材記者が増えなければならない、と思う。

 

地方都市の現実をしっかり取材してるのが良い。

外国人労働者は、日本人若者が見捨てた地方にいる。

日本人の高卒が入社しても辞めていく。

その空白でまじめに働く外国人の若者。

高卒の日本人若者が、地方の中小企業に期待されなくなっている。

高卒の味方の立場の人が、高卒労働者の競争力の低下をしっかり書いている。そこで良い。

 

地方の零細企業の、一部の経営者は、暴力で企業経営している。

日本人若者から見放された経営者が、外国人を虐待している。

失踪するのは当然。

警察も逮捕して起訴しない。暴力の社風の企業はなくならないだろう。

 

地方の人手不足は深刻。

とくに、建設業、農業、介護は、外国人労働者がいないと回らない。日本人の労働者が敬遠している業界だ。高卒の若者も、定着していない。

 

技能実習生の制度がかわり、外国人労働者も稼ぎの良い大都市を目指す。

来日の目的が「出稼ぎ」である以上、高い賃金を目指すのは当然だ。

 

地方は、さらに人手不足になる、という近未来予測も。

人口減少が加速するなかで、移民政策なし、外国人に対する適切な日本語教育の仕組み無し、外国人を奴隷あつかいして暴力を振るう事業者を放置、これでは、外国人が日本を選択しなくなる。

「外国人まかせ」にしてきたツケは大きい。

 

外国人まかせ