名古屋市北区に本部のある、ひきこもり支援施設「アイ・メンタルスクール」が引き起こした、ひきこもり青年変死事件について知るために読書。
名古屋市北区とは私の実家がある場所である。社会問題になるような人物が現れた記憶がない静閑な場所である。逆に言えば、名古屋は東京や大阪というジャーナリズムの真空地帯になる。
(トヨタという巨大多国籍企業についてまともな調査報道がほとんどないという事実とそれは相似形である)
アイ・メンタルスクールの動きについて。東京にいると情報があまりなかった。同じような引きこもり支援施設「ニュースタート事務局」(本部・千葉)については情報は多い。昨年、ニュースタートに見学にもいった。鍋会にも参加して引きこもり青年たちと支援者の談笑の輪にも加わった。テレビ番組になった「レンタルお姉さん」にも会った。「レンタルお姉さん」という言葉もマスメディアによって一般に普及した。
しかし、なんとなく腑に落ちない。引きこもり青年を支援している旧知の人は、ニュースタートにもレンタルお姉さんにも批判的である。
釈然としない。その感覚を「引きこもり狩り」を読むことで整理することができたように思う。
問題の整理はできたとしても問題はつづく。
引きこもりによって疲弊しきった当事者と親を支援するのはなんと難しいことだろう。
それはユニークフェイス当事者への支援を試みながら、挫折を積み上げている私の実感でもある。
引きこもりを治療の対象とする斎藤環医師への批判もまた刺激的である。明解なプレゼンにメディアは弱い。とくに取材に協力的なオピニオンリーダーに弱い。そのことについても考え続けようと思う。