「ドナドナ彼氏」を読了。
23歳の彼氏との同居ノンフィクション。その彼氏がこの本のゲラを偶然読んでしまい、それがきっかけになって別れるまでの記録。この本でいちばん面白かったところは、この別れの場面。
プライバシーについて
物書きが、ともに住む相手のことを書くことはありうるが、それをネタにして書かれることを拒否する人がいるのは当然。話し合いが必要になるが、それによって話がこわれて、その記録が世に出なくなることもある。
ノンフィクションライターの収支について
売れっ子ルポライターが、預金残高1000円以下になってしまう、という描写があった。これでは売れっ子とは言えないのではないかな、と首をかしげる。このような計画性のなさは、柳美里にもある。参考になる。
「文筆生活の現場」を編集した者としては、ノンフィクション系ライターの収支構造は似ていることを再確認できたことが収穫。
文筆生活の現場―ライフワークとしてのノンフィクション (中公新書ラクレ)
酒井あゆみ氏の著作をまとめて読んでいる。風俗嬢経験のあるフリーライターがどれくらいいるのだろうか? と思いながら。きっとすくないだろうと思う。当事者ジャーナリズムはたいへんしんどいからだ。ジャーナリズムを全うしようとすると嘘は書けない。しかし、風俗の世界は嘘が必要な業界。そのなかで酒井あゆみ氏の率直は貴重。自分の恥をきっちり書いている。すごい。