浜松の日系ブラジル人とできるだけ時間を作って会うようにしています。取材というよりも、よき隣人としてのおつきあいをしていきたいという思いからです。
いまは日本中のメディアが浜松市に取材に来てくれていますが、企業の3月決算が終わったあとは、日本人の正社員の削減が本格化するはず。そうなれば、マイノリティへの関心は薄らぐのではないか、と心配しています。
手持ちの情報を見る限り、いまの日系ブラジル人を取り巻く環境はきわめてよくない。1月末、2月末、3月末、と順次、派遣契約が切られていきますので、それに従って無職になる日系ブラジル人が急増していきます。浜松市には、近隣の市町村ですでに契約をきられた日系人が、友人知人の日系人を頼っています。この避難先の日系人の働き手が派遣契約を切られる時が刻々と迫っています。そうなれば、浜松市内で生活に困窮する日系ブラジル人の数は予測しにくくなります。
日系ブラジル人たちの多くは日本社会とあまり接触せずに生活してきたため、日本語によるコミュニケーションができない人がたいへん多い。工場の単純労働しか知らないため、職業的なスキルを習得する機会をなくしている。二重三重で、ハンディを抱えています。
そういうなかで危機が進行中。
ホームレスの数がじわりと増えています。この増加がぐっと増えるのではないか。支援関係者はじりじりとした焦燥感の中で、行動を開始しています。
このままだと、日本人の無職者が大量に出たとき、日系ブラジル人と日本人との間で宿泊施設、数少ない職の奪い合いによるトラブルや対立も起きるのではないでしょうか。
この金融危機による日系ブラジル人が追い詰められていく様子は、国内における「難民問題」という様相を呈してきています。