小説「ジェノサイド」(上下)(高野和明)を読み、その流れで「虐殺器官」(伊藤計劃)を読了した。ふたつの作品はフィクションではあるが、ルワンダ虐殺という歴史的事件を背景として描かれているようなので、ノンフィクション「ジェノサイドの丘 ルワンダ虐殺の隠された真実」を手にとって読み始めた。
短期間で100万人もの人間を、高性能兵器なしでほとんど人力だけで虐殺。国際機関もこれを傍観するだけで手を打たなかった、という大事件である。客観的な事実を読んでいるわけだが、虚構のような読書感覚がある。
人間とはもともと同種の存在を虐殺する、という遺伝子が組み込まれた存在、というような記述があって、虐殺の歴史というものをしっかり読んでみたいと思うようになった。
人間はかなり早く歴史の暗部を忘れる存在でもある。しかし、大量虐殺という歴史が繰り返されているわけだから、そういう部分では、はじめから遺伝子に組み込まれているというストーリーには一定の力があるわけだ。
緒方貞子の言葉が軽い、力がない。