十代に、フォーサイスの「悪魔の選択」を一気読みした経験がある。それから三〇年ぶりくらいにいくつか読んでみた。
「アフガンの男」、「コブラ」、「アベンジャーズ」。 いずれも上下巻なので、よく読んだものだ。
もともと記者だった人である。事実関係がしっかりできている。テロリストと、それを防ぐ諜報機関の関係者も、資金調達、組織内部の調整、準備、行動、そして結論と物語の構造がしっかりできているので、読んでいて安心感がある。こういう小説を読むと、テロリストって地味な作業の積み重ねで超大国と戦争をしているのだな、と分かる。新聞では、こうはいかない。911ははじまりである、というフォーサイスの認識は正しい。911から世界は自爆テロのニュースで溢れている。じぼうじきになった人間を組織的にリクルートして、一定の環境に置かせることで、自爆テロリストが大量に育成できる、という構造がある。さきのジェノサイドの構造とひきあわせながらいろいろと考えさせられる。