移動中に読了。シャープペンシルで書き込みしながら。階級闘争はすでに始まっていた、ということを教えられました。名著です。貧しい人には是非読んでいただきたい。赤木智弘氏の著作とあわせて読むと理解が深まると思います。
あ、それから、この本を読んで改めて、雨宮処凛の偉大さを確認しました。下層階級(アンダークラス)をつなげるカリスマ的リーダーが日本にはまったくいなかったなかに、登場した意義はきわめて大きい。運動が組織化されていく契機になるのは公務員のワーキングプア化であるという指摘はたいへん刺激的だ。公務員の精神疾患罹患率が高い、という情報を以前に読んだことがあるので、リストラが大きく動きだしたとき、昔の国鉄の民営化の時のように自殺者が続出する可能性もある。「公務員ホームレス」も多く出てくるだろう。その多くが仕事を求めて東京、名古屋、大阪という都市部を目指す。その頃には消費税率が10%を超えており、東京のなかにワーキングプアのスラムが現出していくことになろう。これまで見えなかった、貧困層が姿を現す。問題解決型のソーシャルベンチャーの現有能力を超えることが容易に想像できる。
そんなことを考えさせる名著でした。
このような大きなアンダークラス拡大の時代において、大メディアに搾取されているフリーランサー(メディア業界は膨大な数のワーキングプアによって支えられている)たちの役割は大きい。決起して欲しいと期待するが、不況のなかでぐちゃぐちゃに酷使されているためにあまり期待はできないような気がする。若い世代のワーキングプア・フリーランサーの活躍を期待したい!
と、ここまで書いて、赤木智弘と同じような経験をした、フリーランサーは多いのにもかかわらず、メディアの底辺労働者から関連書籍が一冊も出ていないというのは情けない。そう考えると、赤木という人は、出るべくして登場した書き手なのだろう。
橋本健二氏のホームページ
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