石井政之の作業場

作家、編集者、ユニークフェイス研究、「ユニークフェイス生活史」プロジェクト、ユニークフェイス・オンライン相談、横浜で月1飲み会

日記20180922  「ある日 失わずにすむもの」

午前4時起床。散歩。

妻が仕事のため、子守り担当。

家事をして、キーボードをたたく一日である。

特段に大きなことはなかった。

ふたりの子どもたちが遊んでいる横で、なんとなく読書してキーボードをたたく。

幸福な一日だったと思う。

 

Twitterを通じて、古い友人とふたたびつながった。

noteでひとつ記事をアップした。

新潮45」とLGBT問題をネットでおいかけて、新潮社内が揺れていることを確認した。落ち着いたら図書館で問題となった記事を読むかもしれない。力のある書き手が、新潮社から離れるべきか、と考えている文章も散見された。こんな動きは過去になかったと思う。SNS時代で情報と感情の拡散が速くなっている。

 

本日の読書

「ある日 失わずにすむもの」乙川優三郎

短編集。世界各国にいきる男女、親子、友人たちに囲まれたひとりの平凡な人間が、第三次世界大戦に徴兵され、住み慣れた街を立ち去るまでのストーリー。

ほとんどの主人公は、すぐれた業績がある人間ではなく、平凡である。

その人たちが、一枚の召集令状を受け取り、

その日までに身辺整理をし、まわりにわかりを告げていく。

大げさな送別会はない。

SNSに何かを書きのこすわけではない。

遺書を書くわけでもない。

召集令状を書き送った国家に反逆はしない。

逃走することもない。

運命の流れに身を任せて兵舎に向かう。

第三次世界大戦である。

局地的に核戦争をしているくだりもある。

そういう終末的な戦争のイメージのなかで、

戦争に抵抗することそのものに意味がなくなっているかのようだ。

大量破壊兵器をつかった戦地で生き残る可能性は極めて低い。

召集令状の受け取りから、その日までに、

その人たちはどんな時間を過ごしたのか。

その人たちは何を失わないことを望んでいたのか。

そんなことを感じさせる短編集だ。

 

ある日 失わずにすむもの (文芸書)

ある日 失わずにすむもの (文芸書)

 

 

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最後まで読んでいただき感謝します。

 

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