石井政之の作業場

石井政之  作家、編集者、ユニークフェイス研究、「ユニークフェイス生活史」プロジェクト、ユニークフェイス・オンライン相談、横浜で月1飲み会。---有料マガジンの登録をお願いいたします

書評 『マンガでわかる 円形脱毛症になったら読む本』は、マンガによる当事者ノンフィクションの傑作

書評 円形脱毛症になったら読む本  小豆だるま著 合同出版

 

 近年、外見にハンディキャップのある人についての著作が増えている。

 見た目問題、容貌障害、ユニークフェイス、その当事者を呼ぶ名称はさまざまだ。

 本書は,円形脱毛症,いわゆる「ハゲ」であることに焦点をあてた漫画の解説書だ。

 著者は、円形脱毛症の当事者。イラストや漫画を生業としている、ビジュアルで伝えるプロ。そして女性である。

 これまで円形脱毛症についての著作は数多く出版されているが、女性の円形脱毛症・当事者による者は極めて少ない。

 サブタイトルは,「自分が!? 家族が!? もしものための円脱ガイド」とあるように、当事者と家族のための書籍として編集されているようだ。いわば専門書。しかし、その内容は脱毛症に係わる企業関係者(たとえばカツラメーカーの社員)、脱毛症治療にかかわる医療関係者,脱毛症の子どもを担当する学校関係者にも価値がある一冊に仕上がっている。

 漫画という表現手法を使った教育書になっている。しかも、レベルが高い。

 

 内容は、脱毛症についての平易な医学の解説。カツラをうまく使いこなすためのノウハウの説明から始まる。ここまでならば,良心的な医師、かつら事業家であれば書ける。

 本書の大きな特徴は,当事者の現実を、当事者が描いた点にある。

 当事者がどのように円形脱毛症と折り合いをつけて生きていたのか、というライフヒストリーの漫画ストーリーである。

 当事者の多くは,円形脱毛症になって,他者の視線に怯えて外出することを控えたり,その苦悩を周りに語ることができないために孤独になっている。その孤立を解消する仕組みとして、当事者の集まりがあること、そこで出会う、先輩の当事者の生きる姿に励まされて,普通の生活を取り戻していく過程が、ユーモラスな漫画によって描かれている。

 著者は、はっきりと表現していないが,脱毛症によって、当事者は社会から差別されている。その差別の現実を漫画で表現した功績は大きい。当事者ノンフィクションとして画期的な仕事になっていると思う。

 

 私はユニークフェイスという外見にハンディキャップのある当事者を支援する活動をしている人間のひとり。その立場からすると、本書は、疾患の種類に関係なく,外見になんらかのハンディキャップのある当事者と家族に読まれてほしいと思った。

 円形脱毛症の当事者にとってのカツラは,血管腫の当事者にとってのカモフラージュメイクである。

 なぜ素顔を隠して生きる必要があるのか。を問いかける。症状を隠すことで,多くの人からの注目の視線をかわすことはできるようになるが,親しい人間に説明していないという後ろめたさも生み出してしまう。

 そして、カツラを自由自在に使いこなすことで、当事者が自由になっていく、幸福になっていく。カツラとの付き合い方は,社会のなかでの生き方にも通じる。私たちは、まっとうな外見を選択できるときに自由を感じ、そして幸福になれるのかもしれない。

 外見と幸福という哲学的な課題を、漫画でビビッドに伝えている本書の面白さには奥行きがある。

 

マンガでわかる 円形脱毛症になったら読む本: 自分が!? 家族が!? もしものための円脱ガイド

マンガでわかる 円形脱毛症になったら読む本: 自分が!? 家族が!? もしものための円脱ガイド

 

 


 

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2019-1-20 ユニークフェイス交流会 報告

参加者4名(主宰者 除く)

当事者1名
専門職・メディア関係 3名

浜松(静岡県)の交流会だったため,参加者のうち2名が地元の人でした。

いつものように、とくにテーマ設定なし。雑談形式で進行。

当事者から、その症状ゆえに,まわりから凝視されて不快な経験をした、という体験が話されました。

そのストレスを軽くするためにどういうことをやっているのか。
参加者と意見交換,対話。

同じ症状の人と話しがしたい、という希望があったので、
浜松や豊橋では難しいかもしれない、と答えました。

患者会など同じ症状の人と出会うためには、大都市のほうが有利。
東京、名古屋、大阪ならば、医療情報をとりあつかっている市民団体も多い。

浜松、豊橋のような地方都市には、そのようなセルフヘルプの動きは活発ではありません。

関連した症状の市民活動があるのか、その場でスマホ検索して情報交換をして、話しは弾みました。

2時間で解散したあとに、メディア関係の人をまじえてランチ。

豊橋にもどったのは午後4時くらいでした。

これまで約半年、地方都市でユニークフェイス交流会をやってきましたが、いくつかのパターンが分かってきました。


1) いまの情報発信のスタイルだと、
参加者は当事者半分、支援者半分という割合になる。
これは理想に近いのかもしれない

2)熱傷、円形脱毛症など比較的よく知られている疾患の当事者はあまり参加しない。希少難病、患者会がまだできていない疾患の当事者が,ユニークフェイス交流会に参加する傾向がある。

3)参加者のほとんどが女性。

参加者の幅を広げるためには、
大都市でのユニークフェイス交流会の開催が必要というのが結論です。

 

 

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便利そうなので、試してみます。

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1度の質問に、ひとつだけの疑問を書き込んでもらうと回答しやすいです。

 

 

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