石井政之の作業場

石井政之  作家、編集者、ユニークフェイス研究、「ユニークフェイス生活史」プロジェクト、ユニークフェイス・オンライン相談、横浜で月1飲み会。---有料マガジンの登録をお願いいたします

シェアハウスの住人は、資本主義に抵抗する

 シェアハウスのアレコレ Advent Calendar 2019 - Adventar

に参加しています。アドベントカレンダー8日目の担当です。

adventar.org

 

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川崎のシェアハウス MAZARIBAに居住して約半年経った。
シェアハウスに入居した当事者として、シェアハウスの素晴らしさをまとめてみた。
「成人した単身者」にとって、シェアハウスの価値はもっと注目されてよい、と私は考えている。多くのひとに、シェアハウスの魅力を知って欲しい。

 

シェアハウス名物「新しい入居者のための歓迎鍋会」


メリット1
 生活のコストが節約できる。
 家電などはシェアできる。多くの家電は、使用時間が1日数十分。ほかの時間はただ置いてあるだけ。個人所有する意味はそんなにない。シェアすることで、モノとして有効活用できる。
 食事などはおすそ分けが普通にある。「近所づきあい」「隣人つきあい」で、生活コストは下がる。
ひとり暮らしの維持費は高額。その単身者のライフスタイルを見直すことができる。
単身者は、「ひとり暮らし」をするのが普通というのが、先進国の価値観になっている。資本主義社会だからである。ひとりの人間が、すべての生活コストを負担する、という発想は過剰な消費行動になっていく。過剰な消費は、資本主義の本質だが、個人の幸福を保障するものではないことは、歴史が証明している。
勤務先と、ひとり暮らしのためのコンクリートの箱の往復をして、人生の時間を費やしている人が大半だろう。そのコンクリート空間の維持費が、首都圏では高額である。単身者は、家電産業と、不動産業者に経済的に奉仕していることをもっと自覚してよい。都内のひとり暮らしのために家賃に(例えば)毎月10万円を支払う行為は、冷静に考えたら正気の沙汰ではない。家賃負担を半額にしたら、自由になる貯蓄は増える。やりたくもない残業をして、残業手当で生活する理由はなくなる。恋愛にかける時間とお金も増える。

富裕層か不動産業者でない限り、単身者が、賃貸でも所有でも、不動産を維持するメリットはないと思う。
とりわけ、この数年は、日本各地で巨大台風、大水害、大地震が頻発している。住宅ローンをかかえた人たちが被災すると、人生が終了するほどの経済的なダメージを受ける。マスメディアは、災害起因の自己破産をこまかく報じない。「いろいろあるけど、絆のおかげで助けられました。もうひと頑張りします」という前向きな美談を報じてしまう。そんな人は少数派で、おおくの被災者は経済的に困窮する。一戸建て、自動車などを保有していると、被災によってすべて不良債権になるからだ。現金で、一戸建てを新たに建て直す、自動車も新車に買い換えることができる、そんな庶民はひとりもいない。


メリット2
「孤独」と、ほどよい距離感でつきあえる。
首都圏でひとり暮らしをすると、孤独な生活になりがちである。プライバシー空間が確保されていると、自由を感じる人は多いだろう。しかし孤独は精神的にタフであることを要求する。私見だが、孤独な生活様式、ひとりでなんでも決めていく生活に慣れている人は少数派である。現代人はもともと孤独である。住環境で、わざわざ孤独に拍車をかける必要はなにひとつない。
隣人づきあいをすることで、なんとなく寂しい、雑談相手がいないことによる孤独感を解消できる。

 

メリット3
「隣人」との付き合いを再発見する。

ひとつのシェアハウスに、たまたま入居した、赤の他人が集まる。友人ではない。親族でもない。会社の仕事の関係者でもない。同じ趣味のサークルでもない。こういう微妙な人間関係は「隣人」である。
孤独な生活様式を捨てる代わりに、隣人との付き合いがはじまる。これがシェアハウスのライフスタイルだ。
隣人と雑談することで、人間は共同体のなかで生きるのが快適だ、ということを私は「再発見」した。
隣人との、ほどよい距離感をつかむことができないときは単身生活者に戻れば良いと思う。
シェアハウスが増えることで、私たちは、「隣人づきあい」と「孤独づきあい」の両方を選択できるようになる。

 

以上のことから、シェアハウスの住人は、家電産業・不動産産業からの抑圧から解放されており、孤独な生活リスクからも自由である。隣人づきあいで、なんとなく寂しい、という孤独感情から自由である。

 

 

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