読書メモとして。
『原爆の絵 長崎の祈り』(NHK長崎放送局編)を読んだ。
画集なので、読んだ、というより、見た、といったほうが良いのかもしれない。
刊行年は2002年。
1945年8月9日の被爆から58年の歳月を経て、被爆者にその記憶をたどってもらい、新たに絵を書いてもらったという。
この「原爆の絵」で展覧会を開催し、それが書籍になっていた。
長崎原爆についてこの本を手に取ったのは、『原爆供養塔』(堀川恵子著)の影響である。
同じ被爆でも、広島よりも、長崎のほうが、あまり情報が出ていない。
広島は世界初の原爆被害だったので、歴史的な意味はたしかに大きいが、広島と長崎を比較すると、長崎のほうが扱いが小さい。
図書館にいっても、長崎のほうが蔵書が少ない。
長崎の被爆について、すこし勉強しようと思ったのである。
まずは、文字数の少ない画集から、とハードルを低くして選書した。
きわめて情報量が多い画集だった。
被爆経験者の記憶と、画力が、おおきな力になって迫ってきた。
薄い書籍だけれども,ずっしりとした重みがある。
生存者の多くが、地獄を見ていた。
そして、生き残った人間として、簡単に語ることはできない、という思いでいた。
広島の原爆資料館を訪問したとき、被爆者の絵は見たことがある。
記憶はもう薄らいでいるが、見おわったあとに、おおきな疲労を感じたことは覚えている。
この本にも、それと同じような力があった。