面白かった。
猟師に興味をもったのは、数年前に読んだ「ぼくは猟師になった」(千松信也)だろうか。リトルモアという出版社がすごくいい本を出していて、それがきっかけで読んだ記憶がある。猟師に興味があったのではなく、リトルモアに興味があった。千松氏の文章はとてもクールで、会社員をしながら、わな猟をしている様子を格好いい、と思った。
その後、猟師についての書籍は一冊も読んでいない。
再び、「猟師」という言葉と出会ったのは、アマチュア無線の無線機選びでネットを検索していたとき。猟師にとって最適な無線機はどれだ、という記事を読んで、面白かった。その記事に影響を受けて、無線機を選定した。
北尾トロさんとは、8年くらい前、高遠ブックフェスティバルで会っている。
本の町を田舎につくる、という夢のプロジェクトと、その実現のための行動力がすごい、と思って,仕事にかこつけて、長野県の高遠まで行った。
その後の、北尾トロさんの動きは未確認だったけれども、「猟師」というキーワードでネット検索していると、北尾さんが猟師になったことを確認。書籍も出しているので、早速、購入して読んでみた。
実に面白い。猟師ビギナーとしての体験が楽しく書かれている。
家族とのやりとりの描写もいい。
私の子どもたちと同じくらいの年齢の、娘さんとトロさんとの会話文も生き生きしている。
大学時代(30年前)に、長野県飯田市で、ニホンカモシカによる食害調査に参加するというツアーがあり、それに出かけたことを思い出した。
当時も、鹿による農作物被害は深刻だった。いまは猟師が人手不足になっており、さらに被害が深刻化しているわけだ。
猟師の高齢化・引退による人手不足と、ながく猟師を続ける人を増やすための定着化も課題になってることも本書でわかった。
猟の楽しみだけでなく、社会問題としてもしっかり書き込まれていて、多面的に面白いノンフィクションだ。