石井政之の作業場

石井政之  作家、編集者、ユニークフェイス研究、「ユニークフェイス生活史」プロジェクト、ユニークフェイス・オンライン相談、横浜で月1飲み会。---有料マガジンの登録をお願いいたします

書評 『私がアルビノについて調べて考えて書いた本』 アルビノ当事者の語りを発掘する、当事者の研究者のデビュー作

アルビノという疾患がある。生まれつき色素が欠乏している。白い肌。髪には色素がないので金髪にみえる。2万人に一人の割合が生まれる。希少な人たちだ。マイノリティのなかのマイノリティである。

障害は個性だろうか 

「障害は個性だ」、で検索すると、いろいろな議論がある。

 

障害と個性についての僕の考え。
ユニークフェイスについての執筆活動と、障害学を勉強した人間として。

障害、という言葉からは、差別、という現実を連想してしまう。

個性とは思えない。

障害があると差別される可能性が高まる。
差別の引き金になる身体的な状態を「個性」と表現するのは、
言葉の使い方が違うと思う。

acid attack 酸攻撃で顔面が破壊された女性に、その顔は個性、と言えるだろうか。

がんの後遺症をみて、その後遺症は個性だ、と言えるだろうか。

言えないと思う。

障害はスティグマ、であるということを知った上で、限定的に、個性、と表現できると考える。

当事者と、当事者でない人では、障害の捉え方は異なる。

上記のような思考を抜きにして、「障害=個性」、という単純化は、
障害のある当事者、差別される当事者から、「雑な表現をしている」、と思われるのでは。

「障害は個性だ」という表現は、障害を理解するための「入り口」に立った、ということを意味していると思う。

「入り口」のなかに入り込んだときは、障害はもっと複雑な意味をもちはじめる。

 

僕は、ユニークフェイスと個性について、ユニークフェイス当事者の経験から、いつもこう答えている。

ひとりひとりユニークフェイスの状態が違う。
だから、捉え方も、ひとりひとり違う。
ユニークフェイスな状態を「個性」という人もいるし、
いやなモノだと嫌悪している人もいる。
だから、ユニークフェイス当事者は考えることが多い。
ユニークフェイスは複雑。

 

参考

acid attack 酸攻撃について

Acid attacks | World | The Guardian

 

障害学の主張

障害学の主張

 

 

  

私家版 差別語辞典(新潮選書)

私家版 差別語辞典(新潮選書)

 

 

 

映画 ジョーカー 

映画 ジョーカー 鑑賞。面白かったです。
ユニークフェイス当事者は必見。

フリーク(気持ち悪い、化け物)と言われた人間が壊れていく展開はすさまじかった。
貧困、底辺労働、脳の障害後遺症(高次脳機能障害)、生活保護社会保障)などがおりこまれた社会派映画であり、同時にエンターテインメント映画に仕上がっていました。
映画を見て、人間のダークサイドに共感させていく編集と演出は圧巻。

 

wwws.warnerbros.co.jp

 

 

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