55歳で急逝した西村賢太さんに興味を持って読んだ。
薄い文庫なら、すぐに読めるだろう、と。
買ってから読み終えるまで半年かかってしまったけれど。
貧しくて性格が悪い男が主人公。主人公と、作者がだぶっているので、私小説というジャンルにはいる。
物語としては、面白くはない、と思う。
しかし、文章に西村賢太にしか書けない文体とあじわいがある。
西村賢太の著作としては57冊目、と後書きに書いてあった。
限られたテーマを、ずっと書き続けていく。
その気迫を読んでいた、という気がする。
1967年生まれだから、私よりも2年若い。
同世代の人間だけれど、見聞したこと、体験したことがまったく違う。
その違いについても、考えながら読んでいた。