石井政之の作業場

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読書メモ 「家族紛争と司法の役割」千田有紀

読書メモ

「家族紛争と司法の役割--社会学の立場から」千田有紀。再読。

 

女性が不倫、ギャンブル、虐待などをもみ消すために虚偽DVを訴えて、実子拉致をしているという事例が書かれていない。女性が被害者という視点だけ。


弁護士が、実子連れ去り(実子拉致)を法的にサポートしている、という現実についても記述がない。

「DVを捏造する理由がわからない」という記述もある。DVを捏造する理由は、調べればすぐにわかる。それを書かない。

『「別れた親に会えなくて辛い」(中略)という学生に会ったことはない』という記述もある。


しっかりと学生から聞き取れば、そういう学生と出会うと断言しておこう。

 

「家から子どもを連れて出なければいけないのは、まずもってDV被害者だろう」。

さまざまな理由で片親は子どもを連れて家を出ている。なぜDV被害者にだけ焦点を当てて、議論を始めるのか。千田有紀の執筆姿勢は不可解だ。

 

「子どもを連れて逃げている、もっと中立的にいえば、別居しているだけではないか」。

違う。実子拉致の現実を否定したいのわかるけど、無理がある表現だ。千田の事実の解釈と、言葉の選び方は粗雑で独特だ。


「私の聞いた限りでは、支援の現場を知る人たちや司法関係者は、虚偽DVについて懐疑的である」。『「でっちあげDV」「虚偽DV」は極めて珍しい。』。という記述もある。

根拠がないまま書き進めているのが明らかな文章なので驚いた。女性がDVの加害者であることは想定していないのも興味深い。


世界中の先進国で実施されている共同親権と面会交流の良い面についてまったく記述がない。

これも筆者の姿勢がでていて興味深い。 

 

葬式ビジネス仏教が見失った宗教のゼロ地点

Twitterで話題の仏教説話マンガが、記事になっていたので読んでみた。

withnews.jp

 

ひとりの極悪人が、僧侶と出会うことで、仏の道をもとめる人になっていく、という話しである。

読了して、葬式ビジネス仏教になってしまった、現代の日本仏教界では、こういう人はほとんどいなくなってしまった、と思った。

さらにいえば、僧侶という職業も世襲が普通になってしまった。
親の代から引き継いだ建物、墓などの相続をする人になった。
したがって、宗教的な啓示体験をしたうえで、仏教の道に足を踏み入れる人も減少している。

極悪人が宗教に目覚める、といえば、キリスト教プロテスタントには少なくない実例がある。
ヤクザ、覚醒剤売人、受刑者などの経験を経て、あるとき聖書と出会って牧師になる。そういう人がいる。
いわば、悪人正機を実践しているのが、現代キリスト教と言える側面がある。

日本の仏教は、宗教としての力が弱っている。

 

このマンガを読んだ後に、Amazonプライムで、アニメ映画『アシュラ』を鑑賞した。
究極の飢餓状態のなかで生き残った一人の赤子が、
生きるためには人肉を食べる、という獣のような生き方のなかから、言葉を習得し、仏の道に入るまでの物語になっている。
大水害によって、村の農作物が全滅し、報償である米を手に入れるために、村人たちが、ひとりの少年にすぎないアシュラを山狩りで追い込んでいく。
飢餓において、普通の人たちが、異端を排除差別して殺そうと一致団結する様を描写している。

どちらが人間なのか。
どっちも人間なのである。

 

追記

現代の日本仏教は、寺院という不動産を拝む、という気がしている。不動産なくして信仰なし。キリスト教は、聖書から学んで神に祈る。寺院と墓という不動産をできるだけ最小限にしたら、仏教が再生できるような気がしている。

 

寺院消滅

寺院消滅

 

 


映画『アシュラ』予告編

 

アシュラ 大合本 全3巻収録

アシュラ 大合本 全3巻収録

 

 

 

 

ishiimasa.hateblo.jp