いろいろな当事者から,質問を受けて、回答しながら対話する。それがユニークフェイス交流会。
短い時間でサクサク答えて,対話するように心がけています。
回答するときのネタは、3つあります。
ひとつは自分の体験。
二つ目は,ほかの当事者の体験。
三つ目は、これまで読んできた読書から得た知識。
とくにノンフィクション、ジャーナリズム、社会学など
人間社会の現実を描いたものが参考になりました。
自分の体験と、ほかの当事者の体験でも,かなり参考になる情報を提供できると思います。
しかし、なぜ、そうなるのか? を考えると背景となる社会の現実について知っていないと説得力がありません。
なんで私だけがこんなひどいめにあうの?
差別されたユニークフェイス当事者は例外なく、そう言います。
その体験は,あなただけでなく,僕も、ほかのユニークフェイス当事者も経験している。
そして、ほかのマイノリティも受けてきたことでもある。
たとえば,ユニークフェイス当事者に対する就職差別。
この就職差別は,ユニークフェイス当事者だけなのか。
そんなことはないわけです。
外国籍の人たち、女性、障害者も受けてきたのが就職差別だし、いまも進行している現実でもある。
外見にたいする蔑視についても。
ほかのマイノリティも経験してます。
僕は、ノンフィクション・ドキュメンタリー・ジャーナリズムなどの社会について書かれた書籍は、人間社会を知るための取り扱い説明書、と思っています。
このとき、人間はどのように行動するのか、考えるのか。それによって、どういう人たちがひどい目にあうのか。どういう人たちが、優位に立つのか。それが社会全体にどういう影響を与えるのか。または、まったくなかったことにされて、影響がでないのか。
このような読書経験を積み重ねていくと、自分だけがたいへんな目にあっている、という思い込みが消えていきます。
この社会のなかで,ユニークフェイスで生きることの困難は、ほかのマイノリティに通じる困難だし、その困難のなかでも、すばらしい人生をおくっている当事者がいる、という確信につながっていく。
ユニークフェイス当事者と出会うとき、あのとき読んだ、あの文章は、そういう意味だったのか。そんな気づきの瞬間がやってきます。
僕はその瞬間に,ああ、当事者との対話は面白いな,と感じる。
自分の体験と,他者の体験だけでは、この面白さを感じることはできなかったと思う。
ノンフィクションは、人間社会を知るための取扱説明書。
説明書があると、なるほど、ここで人間はこう動くのか。こういうときに、まったく動かないのか。
いま僕が熱心に読んでいる取扱説明書は、格差問題を論じた書籍です。
経済格差があると、人間社会はどのような変化が起きて、個人の考えがどう変わるのか。この格差社会の影響は,ユニークフェイス当事者にも及んでいます。この当事者は、富裕層なのか、中流なのか、貧困層なのか。考えながら当事者と対話しています。さまざまな当事者と対話するとき、その人の経済的な環境を確認することはとても大切だと分かってきましたから。
当事者は、自分の人生を切り開くために、ノンフィクションを読んでほしい。生きるためのヒントを得ることができますよ。