著者のひとり、土屋葉さん(愛知大学)からご恵送いただきました。深謝。
ケアとサポートの社会学
http://www.h-up.com/bd/isbn978-4-588-67206-4.html
はじめに 三井さよ iii
第1章 介護経験とライフストーリー 鈴木智之 1
第2章 実の娘による「遠距離介護」経験と《罪悪感》 中川 敦 37
第3章 本人の「思い」の発見がもたらすもの 井口高志 73
第4章 院内家族会とその支援的機能 鷹田佳典 109
第5章 職業者として寄り添う 三井さよ 149
第6章 ホームヘルプの事業所間比較 齋藤曉子 183
第7章 支援/介助はどのように問題化されてきたか 土屋 葉 215
第8章 「義務としての自立の指導」と「権利としての自立の支援」の狭間で 森川美絵 259
おわりに 鈴木智之 295
第4章の「院内家族会とその支援機能」で、小児癌患者の「親の会」の事例研究があり、これを熟読。親の会が立ち上がっていく経緯についての研究は少ないので参考になった。どんな組織でもキーマンがいないと立ち上がっていかないことがわかる。病院の支援のある、親の会と、支援のない独立型の親の会とでは、それぞれの可能性と限界があり、私はそのことをよく知っているつもりだが、論文としてかたちになっているものが少ない。頭の中を整理するのに役立った。
第7章「支援/介助はどのように問題化されてきたか」福島県青い芝の会の運動を中心として。土屋葉さんの論文。障害者自立運動の伝説的な存在である、青い芝の会の福島県の活動についての記述。こうしたローカル地域の記録はほとんどないのでたいへん参考になる。ここでも1人のキーマンが登場する。キーマンがいないと組織は立ち上がらない。「糾弾型」と「共感要請型」の併存、という指摘がおもしろかった。脳性麻痺当事者のことを知らない地域に対して、無知であることによる差別を伝えながら、介助者を確保するために共感要請も行う。理念と現実の両面を並行していく手法。これは弱者の戦略として現実的だと思う。
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