「リニアは南アルプスをくぐり抜けることができるのか リニア中央新幹線ダークツーリズムガイド」(宗像充/ヤマケイ新書)
長野県大鹿村在住の辺境作家・宗像充さんから直接購入。
大鹿村から横浜に移動する電車(飯田線、東海道本線・・・つまりJR東海の路線)のなかで読みすすめた。
JR東海がこんなにひどい会社だとは知らなかった。
とくに気になったのが残土問題。
トンネル掘削工事から排出される膨大な残土が、大問題になっている、という現実をはじめて知った。
自然破壊だけでなく、鉱害(公害)を引き起こしている。
そして、宗像充さんの取材力のすごさに圧倒された。
「登山家」「ジャーナリスト」「工事現場の大鹿村の定住者」という3つの要素が組み合わさっている。
採算度外視で取材しているのだ。
学生時代に、リニア工事の現場になる南アルプスの山々を登っている。
それから取材がはじまった、と考えると、取材期間は約30年だ。
リニア工事の取材で知り合った大鹿村在住の女性と結婚しており(その後、離婚)、それから定住している。
リニアの工事現場の相模原、栃木県、静岡県、長野県(南アルプス)を徒歩、自転車、登山という「人力」で移動して、その地に暮らしている住民の声をたんねんに聞き取っている。
リニアについて記事を発表する、ひとりの市民としてリニア反対の意思表示をする。
そのたびに、リニア工事を推進する側(JR東海、地元議員、メディアなど)からいやがらせをうけ続けている。
首都圏在住のジャーナリストにはできないレベルの取材活動を、当たり前のこととしてこなしている。執念のノンフィクション作品だ。労作である。
読了後、こう思った。
「JR東海は南アルプスをくぐり抜けることができるのか? 無理だろう。JR東海は大自然に勝てない、かならず負ける」

