奈良県田原本町の医師方で起きた放火殺人事件を巡り、殺人などの非行事実で中等少年院に送致された長男(17)の供述調書などを引用した単行本が出版された秘密漏示事件で、この本の著者でフリージャーナリストの草薙厚子さんが23日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、「資料の一部をカメラで撮影したが、取材方法に違法性はなかった」などと語った。
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また、単行本については、発行元の講談社から重版を控えるとの申し出があったことを明らかにした。
奈良地検による強制捜査後に草薙さんが公の場で発言したのは初めて。
奈良地検は今月14日、長男を精神鑑定した医師(49)が、少年の供述調書などの内容を漏えいした疑いがあるとして、医師や草薙さんの自宅などを捜索し、草薙さんらから事情聴取を続けている。
会見で、草薙さんは、これまでの聴取に対し、「ある人物から捜査資料の開示を受けて、その一部をカメラで撮影したと説明したが、取材源の特定につながるような話は一切していない」と説明。取材方法についても、金銭授受などの不適切な点はなかったと強調した。
今月22日にNHKが「草薙さんが聴取に対し、(精神鑑定した)医師から供述調書の写しを見せてもらったと話した」と報じたことについて、「全くの虚偽。命を差し出しても言えないと話してきた」と否定。NHKを相手取り、近く提訴する考えを明らかにした。
草薙さんは「真相を知るには、少年の肉声である供述調書の引用が必要だった。真相が分からなければ、また同じような事件が繰り返される」と述べる一方で、「ご遺族や、今回の捜査で迷惑をかけた方々には、心よりおわびしたい」と謝罪した。
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NHK広報局は、草薙さんの主張について「ニュースは十分な取材に基づくもの。訴訟を起こされたわけではないので、コメントできない」としている。
(2007年9月23日20時50分 読売新聞)