『永山則夫 封印された鑑定記録』(堀川恵子著)を読んでいます。
ノンフィクション作家の堀川恵子さんの著作は『原爆供養塔』を読んだことがあります。
衝撃的な内容だったので、次に読む著作として『永山則夫』を選びました。
この内容はテレビ番組にもなっています。
「ETV特集 永山則夫 100時間の告白」で、動画検索をすると、
その番組が出てきます。
そのプロデューサーが、堀川恵子氏。テレビでは表現できなかった事実をすべてこの書籍に書き込んでいました。
4人の人間を拳銃で射殺した19歳の少年は、どういう人生を歩んできたのか。
兄妹たちはそれにさらされて、精神障害になっていく。
母は父を止めることが出来ない。
極寒の北海道での貧困生活。
そして金の卵として永山少年は上京。
凶行を繰り返す。
自分から自首して、逮捕される。
自殺願望が強く、取り調べにもまともに応じない。
そういうなかで、若き犯罪精神科医、石川氏と永山は出会う。
そこで、自分の本音を語った内容が、テープに録音されていた。
政治的判断から、永山則夫についての詳細な鑑定記録は、
裁判で取り上げられること、永山の死刑確定。
そのことに絶望した石川医師は、犯罪鑑定から身をひき
いち臨床医として精神病患者の治療を進める立場に転身していく。
その永山鑑定の存在を発掘した堀川さんは、
石川医師に信頼されてすべての資料を託された。
その成果がここに結実している。
永山事件は、終わった、過去の事件である、と思っていたのですが
とんでもないことでした。
堀川さんの仕事によって、ようやく終わった、のだと思いました。
幼児虐待被害者・当事者が、犯罪者になる背景を知る上で必読のノンフィクションです。