『母という呪縛 娘という牢獄』を読んだ感想をSNSで書き散らしたメモを、このブログにまとめておきます。
犯罪ノンフィクションの傑作だと思います。とくに別居、離婚した親に読んで欲しい。
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『母という呪縛 娘という牢獄』を書店で購入。読み始めた。
シングルマザー家庭の地獄、ダークサイドに興味を持ったため。
共同親権の議論を読んでいると、シングルマザーは貧困なので、助けるべき社会的弱者だ、という美しいストーリーが多い。それにずっと疑問を持ってきた。
母親は娘を支配しており、その支配から逃げるために娘は母親を殺害し、バラバラにして遺棄した。
場面の描写がリアル。読むほどに不快な気分になっていく。
娘とケンカして包丁を持ちだして、娘にケガをさせる母親。精神を病んでいる。
『母という呪縛 娘という牢獄』で描かれた母親像は、既視感がある。普通に暮らしていれば、あそこのお母さんは頭がおかしい、という世間話は聞こえてくる。その既視感である。
それにしても、奇妙な別居生活で、父親が不在で、ゆがんだ母娘関係が維持されて濃縮されていく。
家族という密室で、娘を上から目線で指導する母親の暴力、暴言がしっかり記録されていて迫力満点。これだけ知的な娘であっても、相談相手がいない、と思い込んでいて、家族のなかの暴力をだれにも語らなかった。そしてその葛藤とストレスが爆発して殺害してしまう。
別居中の父親は社宅に住んでおり、給与を全額、この母親に渡す。母親は、父親と顔をあわせずに毎月3万円だけを、父親に渡す。母と娘の異常な関係は維持されていく。
『今朝もあの子の夢を見た』野原広子を読んだ人なら、この書籍から深いメッセージを受け取る、と思う。
読了した。
母娘の両方が自殺未遂を経験して、高い葛藤のなか、密室での育児、受験勉強、罵詈雑言が続いた。別居している父親の存在感はゼロだった。
殺人事件がおきてから、娘を支える人間として父親は再生している。
母親は精神疾患だったのかもしれない。
娘が家出をしても、探偵をやとって追跡し、就職内定と取り消させていく。
そして医学部受験を強制。9年間の牢獄生活を強制する。
娘が精神を病むことはなかったのは奇跡だが、そのかわりに母親を殺害してバラバラにした。選択肢はなかった、と供述している。
子どもと別居しているすべての父親にとって、他人事ではない事件ではある。
どういう環境になると、母親は子どもに暴力をふるうのか。
それを隠蔽するために、どういうアクションをするのか。
克明に記録されている。
次世代のために、受刑者とノンフィクション作家が共同で執筆した作品である。
長く読み継がれて欲しい作品だ。
追記
殺人事件の約半数が家族内で発生している。
犯罪ノンフィクションは、家族が破綻した物語になるわけだ。
虐待、暴力、恋人作りの妨害、就職妨害、自立妨害、ネグレクト、受験強制、プライバシー監視など。 複雑な事情を複雑なまま表現するのは力業だ。
追記2
長い歳月、配偶者と別居していたら、それはシングルマザー(ひとり親家庭)といってよい、と思う。この事件は、シングルマザーによる虐待事件から殺人事件に発展した事案だと思う。父親が同居していたら不可能な虐待が多い。