「希望格差社会」(山田昌弘 筑摩書房)を読了。再読する必要あり。今年の上半期ベストになるかもしれない書物。名著です。
希望なんかねぇよ、とウダウダいいながら20代を過ごしたため、身に染みる本でした。
「肉体不平等」は「ボディイメージ格差社会」を描いたわけですが、希望格差社会では経済構造の分析が精緻なのでたいへん勉強になります。
フリーランスライターのような「希望」が見えにくいけれども、知識と技能がそうとう必要とされる職業の人は必読。
今年の三大計画について少し触れます。
(1)NPO法人ユニークフェイスでドキュメンタリービデオ制作
(2)NPO法人ユニークフェイスでカモフラージュメイクのインフラ整備
(3)東京大学先端研、医療政策人材養成講座にて「患者学会」構想を提案
ビデオ、メイク、患者学会。一見すると、バラバラに見えるプロジェクトですが、すべて「次世代の教育」と「企業と行政とNPO法人の協働」(異業種との協働)という点で共通しています。
「希望格差社会」のいうところの、「個人的対処の限界」を突破するために奮闘している人とのネットワークをつくることはこれからも必須になるでしょう。
それから「希望格差社会」を読んで気付いたことなんですが、利害の異なる他者とのネットワークをつくって、相互に利益を獲得しつつ、それぞれの多様性、自立性、経済性を尊重しよう、という取り組みをしようよ、と訴えて、それを実践し、かつ、その結果を出せる人というのは、そうとうに強い人の部類に入る、ということ。私はその道には向いていないのですが、そういう人が少ない世界に首を突っ込むと勉強になります。いままで活字になっていない世界を知ることができるからです。
荒俣宏「漫画と人生」(94年)を読んで、10年前から漫画産業の限界について言及していたことを学ぶ。この人は1カ月に2冊のペースで本を書くことができる「希望格差社会」の勝者でもあって、いまになって刺激を受けること多し。
二宮清純「平成プロ野球改造論」(芸文社 90年)を読み、いまの二宮とスタンス、文体の変化がないことを確認。二宮を意識したのは、ボイスレコーダーを家電量販店で購入しようとしたとき、販促用のポップに二宮の写真とコメントが出ていたため。硬派ジャーナリストがコマーシャルに協力しているのはなぜか? (株)スポーツコミュニケーションという会社で、広告も手がけているためであることはすぐに判明したのだけれど、こういう仕事をする人は日本のジャーナリストではすくない。こういう、ひとりジャーナリスト・ビジネスモデルもある。